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上野 文義; 小林 十思美; 伊藤 卓志; 長谷部 慎一; 菅谷 全*; 大久保 和行*; 鴨川 浩一*
PNC TN9520 92-002, 54 Pages, 1992/03
本報告書は、金属組織学的解析技術の維持・向上を目的として、材料開発室材料物性解析グループにおいて、これまで蓄積してきた金属組織観察用の試料調整技術をマニュアルとしてまとめたものである。このマニュアルでは、対象材料として、代表的鋼種であるSUS304鋼、SUS316鋼及びMOD、9CR-MO鋼を選んだ。調製方法としては、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)での観察に用いるための樹脂埋め・研磨・エッチング方法、および透過型電子顕微鏡(TEM)での観察に用いるためのレプリカ及び薄膜試料の調製方法、について記載した。また、当グループにて実際行った試料調製の条件の例や、それによって得られた組織写真の例を記載した。これらの方法は、金属組織学的解析の分野では一般的に用いられているものがほとんどであるが、当グループにおいて新たに考案した調製方法も含まれている。このマニュアルが、今後の新しい材料や新しい材料評価技術の開発の対応するための基礎となることを望む。
根本 剛; 大内 仁; 岡田 尚; 近藤 勲; 高橋 芳晴
PNC TN8410 92-019, 40 Pages, 1992/02
再処理プロセスの溶媒抽出に使用しているTBP-nドデカン系混合溶媒のソルトフリー分離・再生方法として,室温以下の低温技術(例えば,低温晶析法,凍結真空乾燥法等)による処理の可能性について技術開発を進めている。低温晶析法による分離・再生を検討する際,先ず混合溶媒系の固液平衡関係を明確にすると共に,晶析過程での結晶成長挙動を解明することが重要である。今回,室温から-100まで制御可能な偏光光学顕微鏡を用いて,nドデカン,TBP,DBP及び線照射溶媒の結晶析出及び結晶融解過程についてビデオ撮影した画像によりその挙動を観察したその結果,(1)nドデカン及び線照射溶媒は針状結晶を形成するが,後者の線照射溶媒はnドデカンに比べて成長する結晶が小さい。(2)TBP,DBPともに結晶の成長は認められなかった。(3)降温過程でのnドデカンの結晶成長は,まず過冷却の段階を経て瞬時に結晶を析出し,その後温度降下と共に微量の不純物が徐々に析出する。一方,昇温段階では昇温と共に徐々に結晶が融解するが,試料中の不純物量(TBP等)に依存して,融点が約1下がることが認められた。(4)nドデカンの晶析過程で取り込まれるTBPの挙動については明らかにできなかった。TBP-nドデカン系混合溶媒の晶析過程を初めてビデオによる映像化ができたことから,低温晶析法あるいは圧力晶析法による分離挙動の解析の役立つものと期待される。
河村 和広
PNC TN8600 92-001, 86 Pages, 1992/01
米国ブラウン大学化学部Aaron Wold教授の研究室で,噴霧熱分解法を用いシリコン板上に酸化ジルコニウム膜を付ける実験を行い,膜特性を評価した。噴霧熱分解法の特徴は超音波振動で原料溶液を霧化させるため原料の揮発性に関係無く炉内へ原料を供給でき,大気圧中比較的低温(500程度)で熱分解させることができるとともに緻密で良好な特性を持った各種の膜を作製できることである。本研究では,原料溶液としてジルコニウムアセチルアセトネートのエチルアルコール溶液を使用し,熱分解後シリコン板上で成長した非晶質膜を酸素中で焼成(800)し,結晶化させた。膜付け,焼成のプロセスを繰り返すことにより厚膜を作製した。原料中の不純物問題,均一な膜付けのための最適条件探し,膜の割れ問題,原料供給部の管閉塞など数々の問題を解決し,最高3mの膜割れの無い均質な膜を作製できた。一年間の研究生活を通して習得した事項としては,1徹底した再現性の確認,2一歩一歩研究を進めていくやりかた,3産業界のニーズをとらえた研究テーマの選定,4論文化を念頭においた実験の進め方,5研究・発表の指導法,6研究コストの認識などがあげられる。材料製造技術としては,膜付け技術を習得することによりバルク材料に無い耐熱性,耐食性をもった材料の開発,廃棄物処理法への適用などを検討できるようになり,幅広い技術分野を見渡せるようになった。また二次出張(米国原子力学会,米国材料学会)では,アクチニド回収・核変換技術開発,処分技術開発の現状を知ることができた。米国で生活して米国を内側から知れただけでなく,日本についても再認識できた。また同じ研究室にいた中国人,韓国人と接することでアジアを知るきっかけともなった。これらの経験を今後の研究開発,生活に生かしていきたいと思う。
関 正之
PNC TJ8009 91-001, 81 Pages, 1991/06
大型高速実証炉長寿命燃料集合体のラッパ管には、スエリングの小さい高強度高クロムフェライト系耐熱鋼が用いられる可能性がある。しかし、高強度高クロムフェライト系耐熱鋼はオーステナイト系ステンレス鋼に較べて溶接が難しく、ラッパ管として実用化するには溶接施工法の確立が必要である。初年度(平成元年)の研究では三種類の溶接法(TIG、電子ビーム溶接、レーザー溶接)の比較を行い、電子ビーム溶接法が溶接ビード形状、溶接欠陥、引張性質、曲げ性質、衝撃性質、クリープ破断強度などで最適であることを見いだした。前年度は電子ビーム溶接法により、ラッパ管とラッパ管と同材質の模擬エントランスノズルとを円周溶接するための溶接条件の検討、溶接後の割れ防止のための後熱処理条件の検討を実施した。本年度は、前年度に検討した後熱処理条件(真空熱処理炉)行われたものと同等の硬さ、組織を目標に電子ビーム法による局部焼鈍処理法を検討し、最終的にはラッパ管とエントランスノズルを電子ビーム溶接した供試材を用い、電子ビーム法による局部焼鈍条件を見い出した。
白石 健介; 深井 勝麿
Journal of Nuclear Materials, 117, p.134 - 142, 1983/00
被引用回数:12 パーセンタイル:77.07(Materials Science, Multidisciplinary)標準の316ステンレス鋼を室温で24MeVのヘリウムイオンを3.210ions/mまで照射した。この試料の上表面の微小硬さを照射面からの距離の関数として測定すると、硬さの最大値が照射面から105mの位置に現われる。また、この試料の断面の電子顕微鏡組織の観察では、照射面から105~114mの範囲で小さな転位ループが認められる。この試料を1023Kで1時間熱処理すると、化学エッチによって、照射面から107mの位置を中心にして8mの間隔をもった2本の線が光学顕微鏡写真上で観察される。この2本の線は、断面の電子顕微鏡写真で観察される、かなり密にしかも直線状に並んだフランクループの列と対応していることが確められた。本実験で観察した照射欠陥の深さ分布は、Littmark and Zieglerが非晶質の鉄について理論的に計算したヘリウムの分布とよい一致を示す。